災害対策のための体制

都道府県による災害救助法の適用

災害救助法(昭和22年法律第118号)第2条では、この法律による救助は、災害が発生した市町村の区域内において、その災害により被害を受けて救助を必要とする者に対して、都道府県知事が行うと規定しています。

同法第2条の2では、救助実施市(その防災体制、財政状況その他の事情を勘案し、災害に際し円滑かつ迅速に救助を行うことができるものとして内閣総理大臣が指定する市をいう。)の区域内において災害が発生した場合は、第2条の規定にかかわらず、救助実施市の長が救助を行うと規定しています。

同法第4条第1項には、救助の種類が規定されており、その一つとして、避難所及び応急仮設住宅の供与が掲げられています。

同法による救助の程度、方法及び期間等は、内閣総理大臣が定める基準に従い、都道府県の知事等が、あらかじめ定めることになっています。

内閣総理大臣が定める基準には、応急仮設住宅について、住家が全壊、全焼又は流出し、居住する住家がない者であって、自らの資力で住宅を得ることができないものに、建設し供与するものであること、災害発生の日から20日以内に着工すること、供与期間は完成の日から2年以内とすることなどが規定されています。

都道府県との応急仮設住宅建設に関する協定

当協会は、地震や風水害の自然災害などによる被災者のための応急仮設住宅の供給(建設)について、各都道府県の知事等と当協会の会長との間で「災害時における応急仮設住宅の建設に関する協定」を締結しており、1975年(昭和50年)の神奈川県との協定に始まり、阪神・淡路大震災の発生を契機として、各都道府県との協定締結の一層の迅速化を図り、1997年(平成9年)に全都道府県との締結が完了しました。

その後、災害救助法の一部を改正する法律が平成30年6月15日に公布され、災害救助法に、救助実施市の長による救助の実施に関する規定が、新たに追加されたことに伴い、救助実施市が置かれる各都道府県とは、協定を見直し、都道府県及び救助実施市と当協会の3者による協定を締結しております。

この協定は、応急仮設住宅について、各都道府県及び救助実施市が当協会に協力を要請する手続きや当協会会員の斡旋、建設の費用負担、連絡窓口などを規定しています。

また、当協会は、この協定に基づく報告として、毎年、「応急仮設住宅建設関連資料集」を作成しています。

この資料集は、災害発生時の応急仮設住宅建設に当たって、当協会及び関係する自治体が対応すべき必要事項、応急仮設住宅供給(建設)能力、応急仮設住宅の部材生産工場及びデポ・センターの所在地一覧表、応急仮設住宅の標準仕様及び平面プラン、工程表、配置図などを掲載するとともに、都道府県等と当協会との役割分担、建設のフローチャート、仮設住宅のプランなど基本的な事項を掲載しており、災害時の応急仮設住宅建設に役立つ資料集として、毎年改訂し、各都道府県(仮設住宅担当課)及び関係機関に配布しております。

このほか、当協会は、各都道府県及び救助実施市との連携強化を図るため、各都道府県及び救助実施市に、当協会規格建築部会関係者が訪問をし、応急仮設住宅について、事前準備、緊急時の対応、連絡体制、建設用地の選定、敷地状況や周辺道路状況、ライフラインの状況などの調査を行うとともに、意見交換を行っております。

当協会は、こうした活動を通じて、災害の発生に備え、各都道府県及び救助実施市と当協会とが連携して、情報の交換、建設の準備、資材部材・建設要員の確保、調達や建設に関する事前調整を行っており、応急仮設住宅の迅速な建設を推進し、被災者の住家の速やかな確保に役立っております。